やちむんとは


やちむん概要

 「やちむん」とは沖縄でやきもののこと。やちむんのルーツのひとつが那覇市内の観光名所「壺屋やちむん通り」の名前にもなっている壺屋焼である。壺屋焼は1682年に琉球王国が涌田焼、知花焼などを統合するかたちで生まれた。その後薩摩の侵攻により内地および朝鮮の技術が伝わったことで壺屋焼は発展し、王族や士族への献上品をつくる中で優秀な陶工が次々と育っていった。のちに沖縄ではじめて人間国宝に選ばれた金城次郎はその第一人者であり、2004年に死去してからも、やきものを生業にする者たちの憧れの存在であり続けている。また、壺屋の新垣製陶所で作陶に没頭していた時期のある濱田庄司らがたびたび壺屋を訪れたことも、壷屋焼が脚光を浴びる要因となった。

 その後、沖縄の陶芸の中心地は那覇市内の壺屋から沖縄本島中部の読谷村へと移っていった。1972年、公害規制により住宅密集地と化した壺屋地区での登り窯の使用が難しくなるなか、読谷村は金城次郎を招待し、登り窯を築ける環境を整備した。次郎の移住をきっかけに読谷村では「やちむんの里」構想が本格化し、1978年には大嶺實清、山田真萬、玉元輝政、金城明光の4人が移り住み、9連房からなる共同の登り窯を築いた。彼らの精力的な活動に刺激を受け、陶工たちが読谷各地に次々と窯場を開き、それらは現在も読谷焼として発展し続けている。中でも1992年に4人の若い陶工が築いた13連房の登り窯、「読谷山焼北窯」は全国的にもっとも人気のある窯のひとつとなった。


登り釜

 伝統的な陶磁器焼成用の窯のひとつ。丘などの傾斜面に階段状に設ける連房式の窯で、最下部に焚き口、最上部に煙出しがある。その間に焼成用の室が幾室も設けられ,上に行くほど余熱の効果で早く焼成できる。温度管理は職人の勘によって行われるが、かなりの熟練を要する。一番下の焚き口と各焼成室に設けられた小口から薪を投入し、焼成段階に分けて微妙に温度調整を施すという作業を繰り返す。窯出しは「焚いた時間と同じだけ時間をかけて冷ます」などといわれるように慎重が期され、特に大物は窯出しによる急速な冷却により割れることがある。


やちむんの代表的な装飾技法

・ 藍唐草紋
藍色で描く大胆な唐草はやちむんの代表的な紋様。

・ 点打ち
主に緑、青、茶などで点を打つやちむん定番の紋様。

・飛び鉋
ろくろを回転させながら金具を当てて表面に刻みを入れていく技法。やちむんの飛び鉋は明るく、勢いや躍動感がある。

・イッチン唐草紋
白い釉薬をスポイトのような道具で絞り出して唐草を描く技法。

・ 三彩点打ち
多色の釉薬を使って点を打つ技法。二色や四色でも三彩と呼ばれる。

・線彫り
彫刻刀などで線を刻んで描く技法。魚紋や海老紋の線彫りは代表的なやちむんの紋様のひとつ。

・イングァー(印花)
沖縄独自の竹を使った道具で、花のような印を押す。中央は筆で点打ちをする。

代表的な釉薬

やちむんの釉薬はガジマル灰やサンゴ石灰など身の回りにある自然素材で作られ発展をとげた。

・ 透明釉(フラシ釉)
名前の通り透明な釉薬。金属成分を加えることで多彩な色の釉薬になる、各種釉薬のベースでもある。

・黒釉
灰釉に酸化鉄を加えた鉄釉の一種で、高温で酸化焔焼成することにより黒くなる。

・飴釉
灰釉に鉄またはマンガンを加え、酸化焔焼成することで褐色(飴色)を出す鉄釉の一種。

・呉須釉
深いコバルトブルーを出す酸化コバルトを含む釉薬。

・ 灰釉
木や草、藁など植物の灰を溶媒とした釉薬。やちむんではガジマルやキビ、フクギなどを使った灰釉がある。

沖縄独自のうつわ

・マカイ
沖縄の方言で碗やどんぶりのこと。

・ワンブー
沖縄の方言で鉢のこと。縁が平らになっているのが特徴。

・抱瓶(だちびん)
沖縄地方特有の酒器。元々は泡盛を携帯する容器だったため、持ち主の腰に沿うよう胴の片側がえぐれた三日月型になっている。

・カラカラ
九州・沖縄地方の酒器。内部に陶丸が入っていて、容器を振ると音がして酒がなくなったことがわかることから名付けられたという。

・ジーシーガァーミ
沖縄独特の風習から生まれた骨壺。

・チューカー
沖縄の方言で急須のこと。


moyais取扱いの窯のご紹介

宮城正享窯
読谷山焼北窯の4人の窯元の一人。最初は壺屋の島袋常光さんに弟子入りし、その後山田真萬さんのもとで職人となる。やちむんの伝統を踏まえた粗野で大胆なうつわを作る。

照屋佳信窯
壺屋焼伝統の窯、小橋川永昌の仁王窯で修行を積み職人となる。沖縄伝統の骨壺「ジーシーガァーミ」では沖縄でも有数のつくり手。照屋さんの手仕事は沖縄の風土が生むあたたかみを感じさせてくれる。

横田屋窯
知花實さんは松田共司さんらとともに大嶺實清窯で修行し、2002年読谷村やちむんの里の一角に横田屋窯を開窯。明治期の琉球古窯を目指す知花さんのうつわは、やわらかい色と繊細な絵付けが特徴。

・松田共司窯
読谷山焼北窯の4人の窯元の一人。知花實さんらとともに大嶺實清窯で修行を積み職人となる。今では沖縄を代表するつくり手となった共司さんのうつわは、沖縄らしい躍動感が溢れている。

参考文献:グラフィック社 民藝の教科書 ,Δ弔

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